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スリランカの事情
WHO(1997年)の発表において、口腔がんによる死亡率は世界のがんの中で第7位を占めており、その8割が南アジアの開発途上国に集中しているという実態が明らかになりました。
先進国においては、口腔がんの死亡率はほんの数パーセントにすぎませんが、今回われわれが口腔がん検診を行ったスリランカにおいては口腔がんは全がんの中で36.6%を占めていました。特に南アジアの都市部においては予防指導の効果もありビンロウを噛む人が減少しつつありますが、農村部ではそのような予防活動が行き届いておらず、この古くからの習癖が根付いたままで未だ口腔がんの多発地帯となっているのが現状です。
しかし、その一方で、ビンロウ噛みは労働条件が厳しい農村部の人において、鎮静麻薬効果を望んだ日常生活から切り離せないことが検診の中でわかりました。

スリランカ、モロカワ村における
口腔粘膜疾患調査結果

スリランカ、噛みタバコの
改善結果(95年と98年の比較)
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アメリカでも!
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口腔がんの原因
ビンロウを噛む習癖とその発がんリスクとの因果関係が数多く報告されていますが、AFOCが行った農村部での3年間の検診の結果、ビンロウに混ぜて嗜好する石灰やタバコの葉に強い発癌作用があることがわかりました。 ビンロウと石灰に発癌物質
口腔粘膜の変化
2年目以降の検診時に行った予防指導内容であったタバコや石灰を混ぜてビンロウを噛むことを止めることについては、約30%の人がビンロウ噛みをやめてしまっていました。その他の人については、病変が認められなかった群または病変の改善が認められた群の平均回数は4回で、噛んでいる時間も10分程度に改善されていました。
また、それに伴い口腔粘膜疾患も、lichen planus,leukoplakiaにおいては病域が縮小または消退しており、leukoedemaについてはその厚みが縮小していました。ただし、非可逆性病変と思われるsubmucos fibrosis lesionに関しては顕著な改善は認められませんでした。
一方、がん病変および前がん病変のみられた群の人は平均回数は11回で、噛んでいる時間は30分程度でした。この群の3名に口腔がんが発見され、近郊の総合病院へ紹介しました。

スリランカ、噛みタバコの
改善結果(95年と98年の比較)